リファラル採用を考える|歯科衛生士の採用
リファラル採用を考える
人材採用の場面で、「リファラル採用」という手法が広がっています。
リファラルとは英語のreferral(紹介、紹介される人)を意味し、従業員からの紹介をうけて、会社などが人材を採用するやり方です。新たな人材を求める企業が、誰かよい人材がいないかと呼びかけ、従業員が友人や知人を紹介するのが一般的です。
リファラル採用のメリット
リファラル採用のメリットとしてはまず、求人広告を出したり、人材紹介サービスを通じて候補者を募ったりする費用が省ける点があります。
友人や知人を紹介する従業員は、一緒の職場で働きたいと思う人を紹介することが多いでしょう。これは、従業員が自分の職場を気に入っていると受け取れる行動です。つまり、紹介された候補者の評価がある程度定まっていて、就職後に職場でトラブルを起こすなどして、離職してしまうリスクが抑えられるのです。
求人広告や人材紹介サービスで募った人材は、書類審査だけでなく面接を通じて人物評価をする必要があるうえ、採用した人物が職場にうまく溶け込めるかどうかは、ふたを開けてみないと分からないのが実情です。
もう少し違う角度からみると、リファラル採用は、求人広告や人材紹介サービスよりも、転職を考えていない「転職潜在層」にアプローチしやすいでしょう。友人や知人の話を聞いた歯科衛生士が、勤務先に不満はないものの、「紹介された歯科医院の方が待遇や職場環境がよさそうだ」と転職を考え始めることがあります。
広告やサービスだけで人の行動に変容を促すのは難しいですが、知り合いから勧められれば、人の心は動きやすいものです。結果的に、歯科医院は、リファラル採用によって幅広い人材を獲得できる機会が広がります。
縁故採用との違い
ここまでリファラル採用について説明してきました。
昔からある縁故採用との違いを思い浮かべたかもしれませんが、縁故採用は俗に、コネ採用とも言われ、経営者ら幹部の親類縁者といった身内であることがほとんどでした。
コネ採用のデメリットとしては、あまり有能でなくても経営者の親類だからという理由だけで人を雇ってしまう点が一つ。二つ目に、コネ入社した者がたとえ職場の人間関係や雰囲気を壊すような人物であっても、雇用を打ち切りにくいという点があります。
これに対しリファラル採用においては、歯科医院であれば、同じ歯科衛生士か歯科助手、医院長ではない歯科医師などとなります。雇用されている者の視点で新規採用の候補者を見つけてくる点が、縁故採用とは異なります。それだけに、候補者は職場での待遇などにある程度、納得感をもって応募できます。
リファラル採用のデメリット
リファラル採用にデメリットはないのでしょうか。考えられるのは、職場をよく知る者が候補者を推薦したときに、その歯科医院が求めるスキルや経験、人物像と候補者が合致しないケースかもしれません。何度もそのようなことが続けば、かえって採用に手間がかかり、紹介してくれた人物の顔をつぶすことにもなりかねないでしょう。
もう一つは、特定の人だけに紹介を頼み、複数人を採用した場合です。知り合い同士で一緒に働くことで、職場に甘えができたり、調和が乱れたりすることもあります。
リファラル採用のポイント
歯科医院がリファラル採用を試す価値はありますが、候補者を紹介する歯科衛生士らと日ごろのコミュニケーションを密にし、医院が求める人材について共通理解を深めることが求められます。
さらに、紹介された候補者が採用、不採用のどちらになっても、事後的なフォローを欠かさないことが重要です。具体的には紹介者に謝意を示すことや、何かしらのインセンティブを与えます。それらに加えて採用・不採用の理由を丁寧に説明すべきでしょう。リファラル採用がきっかけで、職場に不協和音が響くことがないよう、気配りをすることも大切です。
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