人材は運まかせで来るものではなく、引き寄せるもの

人材は運まかせで来るものではなく、引き寄せるもの

歯科衛生士の採用を進める前に、自院の現状と求職者の傾向をよく整理しておく必要があります。あらゆる視点から現在地を確認して戦略づくりに役立てましょう。

人材を集める前にするべき事前準備

1.現状の把握と理解

自院の現状・課題を把握し、次の採用ターゲットを絞り込んでおくことが大切です。また、他の医院とは違う自分の医院の魅力を認識し、整理する必要があります。

2.求職者を理解する

求職者の考え方、行動、ニーズなどを理解する必要があり、それらを理解した上で、はじめて求職者にとっての自院の魅力を訴求することが出来ます。

これらの取り組みは、採用担当者だけで行うことは難しいでしょう。医院で働かれているスタッフの協力を得ることが重要です。これについては採用の成功事例の記事でもご紹介しています。

歯科衛生士の採用を成功させている医院の特徴

採用活動を成功させている医院の特徴を3つ紹介いたします。

・トップが主体的に採用に関わる
・スタッフも採用活動を理解し、参加する
・法令・規則を当たり前に運用する

これら3つの特徴からわかることは、採用担当者任せにするのではなく、トップが先頭に立ち、働くスタッフを巻き込み、医院全体で準備を進めていくべきことでしょう。

【活用事例】スタッフの声を採用活動に活かす歯科医院様

求められる、選ばれる職場とは

歯科衛生士の採用成功のためには、歯科衛生士が働きたいと思うような魅力的な環境づくりが重要になります。求人にお金をかけ、面接を行うけれど、一向に採用までたどり着かない……そんな悩みはありませんか。どれだけ熱心に求職者にアプローチをしたとしても、その歯科医院で働くメリットを感じてもらえなければ採用にはつながりません。

ここからは、歯科衛生士が働きたいと思う歯科医院の特徴を解説していきます。

歯科衛生士の転職理由

まず着目したいのが歯科衛生士の転職理由です。
求職者は今の職場での不満や悩みの解決や希望に合った職場環境を得るために転職します。転職先には、転職活動を始めるきっかけとなった課題がなく、働く上での条件をクリアしている歯科医院を選ぶでしょう。

ここで、転職者が転職先に選ぶ歯科医院の基準を満たすことができれば採用で有利になるでしょうし、さらに今いるスタッフの退職の予防にもなるので、押さえたいポイントとなります。

日本歯科衛生士会が2020年に実施した「第9回歯科衛生士の勤務実態調査報告書」によると、歯科衛生士の転職理由の上位は下記のグラフの通りです。

常勤歯科衛生士の転職理由
常勤歯科衛生士の転職理由


主な転職理由は「経営者との人間関係」「給与・待遇面」「仕事内容」「勤務形態・勤務時間」ということがわかります。さらにパート職員など非常勤スタッフの場合は「結婚」や「出産・育児」がきっかけで、転職をする傾向がわかります。

歯科衛生士が働きたいと思う歯科医院にするには、上記項目の改善から着手すると成功する確率が高くなるでしょう。

では、次にそれぞれの項目に沿って、詳細や具体的な取り組みを説明していきます。

人間関係

経営者との人間関係は、歯科衛生士にとって非常に重要です。歯科衛生士の9割が勤務する歯科医院では、院長と接する機会が多くなります。「すぐに感情的に怒る」「高圧的な態度を取る」といった院長のもとでは、ほとんどの歯科衛生士が働きにくいと思っているでしょう。

院長自ら気持ちのよいコミュニケーションを心がけることで歯科医院全体の雰囲気がよくなり、求職者に「ここで働きたい」と思われる可能性が上がります。

【成功事例】院長自ら気持ちのよいコミュニケーションで安定経営


給料

給与・待遇については、特に常勤スタッフの募集の際に重要になる項目です。「第9回歯科衛生士の勤務実態調査報告書」によると、年収に不満を感じている常勤の歯科衛生士の割合は約3人に1人になります。

年収の満足度(常勤全体)


給与は明確に数字でわかるため、他の歯科医院と比較されやすい項目です。可能な範囲で高い給与を提示することは、応募者を増やす近道となります。歯科衛生士は40代まで年収が上がる傾向にあります。しかし、40代以降は横ばいのため、給与に不満を持ちやすくなります。

仕事内容

仕事内容については、愛知県歯科医師会の「平成27年度歯科衛生士就業実態調査報告書」によると、業務ごとに大きく満足度が異なることが記載されています。
チェアサイド業務(診療介助)の満足度が低く、SC(Scaling)・SRP(Scaling Root Planing)・TBI(Tooth Brushing Instruction)の満足度が高いことがわかります。

歯科衛生士は、積極的に患者に関わる業務を好む傾向がみられます。もしくは歯科衛生士としての知識や技術を活かせる業務が満足度に繋がっているのかもしれません。このことから、歯科衛生士が患者としっかり向き合える環境を整え、スムーズにチェアサイド業務ができるよう改善することで、仕事への満足度が上がると考えられます。求人情報にも、このような取り組みを実施した、もしくはしている場合は記載するとよいでしょう。

ワークライフバランス

最後に結婚・出産・育児について解説します。
歯科衛生士の9割近くが女性であることもあり、事実、結婚・出産などライフイベントと仕事のバランスを重視する傾向があります。特に非常勤スタッフの場合は、そのような希望が強く出ています。勤務形態・勤務時間も歯科医師の転職理由の上位にランクインしており、時短勤務や柔軟なシフトが組めるといったさまざまな働き方ができる歯科医院は、歯科衛生士にとって非常に魅力的にうつります。この勤務形態・勤務時間の多様化については、これから先ますます進むと考えられるので、早めに着手したほうがいいかもしれません。

費用や人的リソースなどの関係で、紹介した全ての項目を改善するのはなかなか難しいでしょう。しかし、ひとつでも改善することで採用に成功する可能性は高まります。まずは取り組みやすいところから始めて、採用活動を有利に進めてはいかがでしょうか。

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